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ブリトニーレッスン日


落ちたぁぁぁぁあ


はあ

はあ


朝比奈が1番
嫌いな言葉がある


小さい頃から
やっておけばよかった


こいつ↑


ああなりたかった

とか


こうなりたかった


とか


◯◯しとけば
今頃は

とかね


ダンス試験に
落ちるたびに
自分を辞めたくなる


同伴を今月
何回する!って
決めた目標が
一回たりなかった時

目標金額が
1,000足りなかっても

死にたくなる


自分をやめたくなる

自分という人間が
心底
気持ち悪くなる





そのたびに

次の答えに
行き着くのだ


今の自分は

良くするも
悪くするも


自分で手を
加えていくしか
道はないのだ


自分が嫌いなままで

ストレスを感じない
そんな人なら
話は別だが


自分が悔しかったり

自分が
好きになれない
事に
自信を
持つことができず

周りに牙をむき
心を閉ざす
くらいなら


好きになるために
動くしかないし

自分を
そのステージまで
仕上げる
必要があるのだ


大人たちが
なぜ
小さい時に
習い事をあれだけ
させるのか

大人になって
見に染みてわかる





自分たちが
苦労した事を

我が子には
させたくないという
親心だ

子供の時は
それが
いじわるなんだとか
嫌われてるからだ
とか
思っていたが


人間って
言わなきゃわからない
生き物だが


相手の
本当の
意思を感じ取るにも
時間がかかるようだ


つらいねぇ

かなしいねぇ

泣いてばかりで
家に帰ったら
誰かに
抱きしめてもらう


そんな子供時代は
終わったのだ


自分自身が
この子がどんな
選択をしたら
幸せに
なれるだろうか?


今はつらくとも
その辛さが
未来の自分の笑顔に
繋がるなら

厳しい今の現実は
必要なのだろう


自分自身が
踊りたいと
思ってしまったのだ

はあ

もう。

またかよって
"落ちた"だけの
現実よりも

前回の落ちた
時の仕上がりが

10ならば

今日は30だった
"落ちた"なら
進んでいるのだ


止まっている暇は
ない

悲しくて
涙が
止まらなかったけど

仕事だって
休みたいけど


それはきっと
私の笑顔には
繋がらない


いやあ
今日のお酒は

ちょっと
染みるだろう


涙は受かった
時の嬉し涙まで

抑えて!


自分のできなささに
レベルの低さに
ただただ

ナイフが
突き刺さった

逃げ出して
しまえばいい


やめてしまえばいい


でもどうしても
やりたいと
思っちゃうんだから


基準値を
クリアするしか
道はないのだ



落ち込んで
いる暇はない


わたしは
キャバ嬢なのだ


来客予定がなければ
価値がなくなる


昨日5卓呼ぶ!

とか言った私



あと1時間

やれることを
やるのだ

人生って

悩んだり
辛さも
自分で
抱きしめて
あげられるのは

他人ではなく

自分しかいない

頑張った
自分なんかじゃない


結果を作った自分


それでしか
幸せになる方法は

ない


そして
ありがたい事に


自分では
気づかない良さを

お客様が
見つけて
教えてくださいます


本当に
この仕事は
毎日が勉強である


悪い事も
しっかり
教えてくれる

そこに愛があるかは
別として。


プレゼントには
ラッピングのリボンが
ついているものだ




われわれの仕事は

言葉という
プレゼントに
リボンを結ぶ

そんな
お仕事である


リボンの良さを
語る仕事じゃない


誰かに
話を聞いて欲しい

朝比奈だって
そんな夜がある


そんな日の
寝付けない夜が

心スッキリして
言いたい事
話せる場が欲しい夜

そんな日だってある

彼女にはできない
妻にはできない

セフレにもできない

このお仕事

なぜならば?

みんな自分が
可愛いから。

キャバ嬢は
私の話もきいてよ!
って言わない

私を1番に
愛してよ!

って言わない

私だけを見てよ!
って言わない


ただ


受け止める



ただ

聞いてあげる



そんなシンプルな
お仕事が

彼女なら
彼氏が
辛いとかよりも
自分のつらさを
わかって欲しいって
思うし


妻なら
収入もちゃんとして
もらいたいし
子供の面倒だって
家事だって
助けて欲しい

妻である前に
女である時間を
だんなに
ささげたののだから
それくらい
協力されたい


セフレなら

いつまでも
チヤホヤされたい

承認欲求という
人間独自の
当たり前な
感情である

しかしながら

ぶつかるのだ


しかしキャバ嬢は
それを
サービス業としている

いわば
家事代行サービスと
なんら変わらない


それ以上でも
それ以下でもない
関係

ばーって吐き出して
明日気持ちよく
仕事ができる


そんな吐口


頑張ってるよ
ちゃんと見てるから

って言う気持ちを
あげてもらえる場所


AIの時代が来る

人がいらない
時代が来る

てかもう来てる

そんな話を
とあるお客様から
聞いた時

家を
立てる大人が減り
賃貸マンションに
住むようになり

おはようございます

とか

今日もいい天気ね

なんて話す

近所付き合いが
なくなり


最近あの子
見ないわね?
という変化に
気付けず

虐待や引きこもりや
ニートが増え

人の闇は
どんどん深くなる

吐き口がネットに
なり

アンチや
ネットでしか
ぶちまけられない

人は1人じゃ
生きられない

人間は
人のお腹から
生まれてるのだ

あのあたたかさを
知ってるから


誰かの温かさが
より必要な時代に
なるだろう

サービス業

ゲームと遊ぶより
誰かと
遊んだ方が楽しい

なぜ1人が楽なのか?

人間は
いいこともいうが

悪いことや
いらん事も喋るから
傷つきたくない
邪魔されたくない



そんなとこでは
ないだろうか




レッスンに
落ちたあと

ふさぎこむよりも
先に


それでも
あなたが選んだ道
なんでしょ

という話を
聞いた時

何気ない誰かの言葉に
気持ちがすっと
軽く

そんな真似は

AIにはできないな
と確信した
朝比奈であった

もっと
人に触れ

人と接する
必要がある

年々その想いが
強くなる

そう思うのは
わたしだけでは
ないはずだ



朝比奈