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身支度を済ませ


夕方の17時過ぎ



ヘアセットへ向かう
朝比奈


ヘアセットの入っている
ビルにつき
エレベーターの
ボタンを押す



ひっく


ひっく



どこからか
女の鳴き声がする



うわあぁぁぁ!



まあまあデカいな


声が近い事に
振り返ると
階段だった



上か?



気づいたら
足が動いていた



すると
しゃがみ込み
泣きじゃくる女がいた



大丈夫?



泣きじゃくる彼女は


"こんな夜中にすみません



大丈夫です、、、"




いつから
泣いているのか
まだ時刻は夕方である



深入りしても
しょうがないので

頭をぽんぽん
とだけして

後にする



かっこつけでもなく

こんな光景

よく見る話だ👀


ヘアセット
サロンにつけば


"ご飯行こうって
言ったら同伴ひやだとか
言うのありえなくない?"


とか


"今日ラストまで居たら
アフター俺に時間使ってよ
って言うけど
営業終わってみないと
誰が1番お金使うか
どのアフターに行くべきか
他にもアフター
出来るかもだから
確約出来なくない?"


とか


"彼氏が他のキャバクラ
行ってて喧嘩した"


とか


すっぴんから
夜の女へ

ヘアスタイリストが
魔法をかける間

彼女たちも
夜の女へと
化粧をし変身していく中

飛び交う会話も


耳にタコができるくらい
よく聞く会話が
並んでいる


そんな目に見えない
会話のカーテンを
払い除けながら
席に着く


"りえさん
今日どうされますか?"


"おまかせで☺️"

この会話が
朝比奈のスイッチを
ONにする

子供をかかえるもの
生きる意味がわからないもの
刺激をもとめるもの
推しのために稼ぐもの
自分の限界をもとめるもの
頂点を目指すもの
自分を見つけたいもの


さまざまな理由で

行き着いた女たちが
この街で働いている




男で女が変わる

とはよく言ったもので

どんなお客様に
出会うかで

輝くもの

どん底に落ちるもの


様々だろう


その経験を

強さに変えるか
武器に変えるかは

あなた次第である


泣いた夜は数知れど

出会ったお客様越しに
見せて頂いた美しい
景色も数知れません


出会いあれば
別れもありますが

その5分の出会いが

誰かの背中を推したり
転機になったり
悲し涙を嬉し涙に
変えるのも

夜の街ならではで
ないのだろうか


朝比奈は
背中を押される
パワーがあるお客様に
出会う事の方が
多かったから
痛感しているが


昼の仕事で
人をお金を動かす
大社長たちの

あの判断力と

男気のある覇気は

人1倍
恥ずかしさも
悔しい思いも
失敗もしてきて
泥水飲んできたから
出るオーラ
なんだろうなって

それなのに

推しだけでなく
黒服にも優しく
腰の低いお客様に

顔を立ててくださる
お客様に

いつも頭が上がらない
朝比奈であった


さあ


今日も気張りましょう


二日酔いだろうが

体調悪かろうが

売上が
うまくいかなかろうが

プライベートが
下がっていようが

一歩店に入れば

夜の女である

◯◯のお店の
◯◯ちゃん


なのだ



さあさあ
背中を伸ばし
笑顔を作り
胸を張りなさいな☺️🌸

週のスタートである

お客様は
楽しさと笑顔を
求めてやってくるのだから


プライベートの
リアルなど

家の玄関に置いてくるのが
筋だろう


朝比奈